1マイルの価値とANA特典航空券の座席数を検証

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マイルを使って無料で飛行機に乗るには貯めたマイルを特典航空券という搭乗券に交換しなければなりません。 けれど、みんながみんなマイルで特典航空券を手に入れて無料で乗られたのではANAとしても利益が出ません。

かと言って特典航空券を全く作らなければANAマイルを貯める人がいなくなるし、有償で飛行機に乗ってマイルを貯めているビジネスマンやお金持ちに離れられてしまいます。そこで航空会社はお客があまり不満を持たず、また自社の利益への影響が少ないそんな絶妙なバランスの座席数を特典航空券として用意する必要があります。

そこで考えるのが・・・

1マイルの価値

特典航空券の価値は座席を用意する航空会社にとっても、発券する私たちにとっても重要なものです。 航空会社は少しでも価値が低い航空券にマイルを交換して欲しく、逆に私たちは少しでも価値が高い航空券にマイルを交換した方がお得になります。

例をあげてみます
子どもが夏休みに入る7月中旬以降の設定です(私が調べた時点のいわゆる繁忙期の航空料金)

  1. 宮古島:羽田~宮古島の航空券は往復4万円(旅割55)これをマイルで予約すると2万マイル必要になります。航空券代÷必要マイル数で計算すると1マイルの価値は2円になります。
  2. ハワイ:成田~ハワイの航空券は(税金・燃油サーチャージ含まない)エコノミー11万3千円・ビジネスクラス28万5千円。 これをマイルで予約するとエコノミー4万マイル・ビジネス6万5千マイル必要になります。 先ほどと同様の計算をすると1マイルの価値はエコノミー2.82円・ビジネス4.38円となります。

宮古島とハワイを比べた場合の1マイルの価値は 宮古島<ハワイ・エコノミー<ハワイ・ビジネスクラスの順になります。

これを航空会社の視点で考えてみましょう。

宮古島は2席8万円で売れ、ハワイ・エコノミーは1席11万3千円で売れます。交換マイルは両方4万マイルです。4万マイルで宮古島2席と交換されたら8万円の売り上げを失います。ハワイ・エコノミーに交換されたら11万3千円の売り上げを失います。

航空会社としてはどちらに交換してもらいたいでしょうか?

当然宮古島ですよね。そこで航空会社は初めから宮古島の特典航空券を多く用意し、ハワイ・エコノミーを少なくします。ましてやハワイ・ビジネスクラスはさらに少なくします(ビジネスクラスをバンバン取られでもしたらとんでもない売り上げ減ですからね)
こうして特典航空券の座席数はハワイ・ビジネス<ハワイ・エコノミー<宮古島となります。 実際繁忙期のハワイ・ビジネスクラスは座席数に対しライバルがあまりに多過ぎて中々取れません(繁忙期以外は比較的取れます)

そこでマイル利用者はまずハワイ・ビジネスクラスを狙います。けれど中々取れない→ハワイ・エコノミーも取れない→宮古島なら取れる。
良し!今年は宮古島に行こう!!という考えになります。こうして航空会社は自然とマイル価値の低い方へ誘導していきます。

こう考えるとマイルは本当に良く考えられた制度ですね。まずビジネスクラスを0にしないのが上手です。マイルを貯めても乗れるのはエコノミーだけ!というよりは ビジネスクラスにも乗れる!という方がマイルを貯めるモチベーションが格段に上がります(私はその典型例)また第一希望が取れなかったとしても代替案である宮古島の特典航空券を多く用意することで、せっかく貯めたマイルが全然使えない!という不満を抑える上手い落とし所を用意しています(先ほどから宮古島は例えとして挙げているだけなので宮古島が好きな方には申し訳ありません)

もちろん私たち利用者はマイルの価値という値段の尺度だけでなく自分が行きたい場所を行きたい時期に予約するのが一番です。現に私が1月に行ったグアムはハワイに比べるとマイル価値が低いと言われていますが、自分が行きたい気持ちにはマイルの価値以上のものがあります。 これはあくまで航空会社の狙いだと思って下さい。




ANA特典航空券座席数一覧

特典航空券は目的地や搭乗クラスによって1マイルの価値が変わるため用意されている座席数が異なることが分かりましたね。そこで次はANAが用意している海外特典航空券の座席数を調べてみました(特典航空券の座席数は公表されてません)

検索条件

  1. ANA一般会員で検証
  2. ANAマイルで行ける(スターアライアンス・提携航空会社含む)
  3. 羽田・成田から直行便で行ける

検索結果

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注)座席数は2017年5月時点で私が確認できたものです

どこの都市もマイルの価値が低いエコノミーの座席が多く次いでビジネス、ファーストの順に減っていきます。
一覧を見ると自分の行ける都市・目標が見えてきます。

一般会員の場合マイルさえ貯まれば夫婦2人でロサンゼルスにファーストクラスで行けます。しかしロンドン行きのファーストクラスは1席しかないのでどう頑張っても2人でファーストクラスは不可能です。
一人がファーストクラスでもう1人がビジネスクラスで行くしかないですね。

同じようにハワイに家族3人でビジネスクラスで行きたいと思っても、そもそも2席しか用意されていないので3人で乗ることは不可能です。真夏のハワイに3人で行きたければ最初からエコノミー3席狙いで行くべきです。あるいは上級会員になってビジネスの開放数を増やすしかありません(1ヶ月前に4席開放されますがそれは座席が相当数空いている時です。繁忙期は有償の空席自体ほとんど無いため一般会員に開放されることはまずありません)
※2019年5月以降は一般会員でもハワイ路線のプレミアムエコノミーが9席予約できるようになったのでそちらもオススメです。

検索して感じたこと

①搭乗1ヶ月前などは特典航空券用の座席が開放されやすい
海外旅行の場合、多くの方は旅行会社を通すにしろ自分で手配するにしろ2ヶ月・3ヶ月前から予約するのが一般的です。2・3ヶ月前から予約する理由は、飛行機は発売開始から数ヶ月間高く、その後数ヶ月間かけて下がり搭乗日の1ヶ月前から再び値段が高くなる傾向があるからです。

仕事で乗る人は別ですが個人旅行であえて直前に高い金額で行く人は少ないですよね。そうなると1ヶ月前に空席が目立ち埋まりそうもない便はそのまま誰も乗せないより特典航空券として開放してマイルを貯めている人に乗ってもらい満足度を高めた方が良いと航空会社は判断すので座席が開放されやすくなります。

②ビジネスクラスよりファーストクラスが取りやすい
ニューヨーク(レギュラーシーズン)にマイルで行く場合ビジネスクラスだと8万5千マイルですがファーストクラスだと15万マイル必要です。私が適当に検索した日はビジネスが87万円でファーストが210万円でした。
値段が2.4倍違うのに必要なマイル数1.8倍で済みます。1マイルの価値から考えればファーストクラスに乗る方が価値が高いですが、現実はビジネスクラスを取る方が多かったです。

理由は、15万マイル貯めるのが難しい、あるいは15万マイルあればビジネスで2回行くという人が多いんだと思います。

③意外とハワイが取りやすい
人気と言われてるハワイですが、直行便が1日3便(ユナイテッド含めば4便)もあり、全ての便で同じ座席数が用意されているので繁忙期を外せば1日1便しかない都市より取りやすく感じました。

1番取りづらかったのはパリ・ビジネスクラスで、次がフランクフルト・ビジネスクラスでした。
尚、ハワイは今後A380という世界最大の飛行機を3便全てに導入予定のため、導入されれば座席数が大幅に増え=特典航空券も増えることが予想されます。真夏のハワイでも取りやすくなると良いですね。

④基本は予約開始日である355日前に予約(あるいは330日前に予約)
出発日近くで開放されるのはあくまで席が空いている時です。エアカナダやルフトハンザなど繁忙期は取れないと思っておいた方が良いです。


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